首こりと顎関節症の関係性
首のコリと顎関節症は、一見すると別々の症状のように思えますが、実は密接に関係しています。顎の動きは首や肩の筋肉とも連動しており、顎関節に不調があると首周りの筋肉にも負担がかかりやすくなります。
顎関節症によって噛み合わせや口の開閉に問題が生じると、無意識のうちに首や肩の筋肉でそのバランスを補おうとします。その結果、首の筋肉が緊張し、慢性的なコリや痛みが引き起こされるのです。
逆に、長時間のデスクワークや姿勢の悪さで首や肩がこると、それが顎の筋肉や関節に影響を与え、顎関節症の症状を悪化させることもあります。
つまり、首コリと顎関節症は互いに影響し合う関係にあり、片方の不調がもう片方を悪化させる「悪循環」に陥ることも少なくありません。根本的な改善を目指すためには、どちらの症状にも目を向けて、全身のバランスを整えることが大切です。
顎関節症とは?
顎関節症(がくかんせつしょう)とは、あごの関節やその周囲の筋肉に何らかの異常が生じることで、口を開けにくくなったり、あごの動きに痛みや音が伴ったりする状態を指します。
主に、あごの使いすぎや噛み合わせの不調、ストレスによる筋肉の緊張、歯ぎしりなどが原因とされます。
症状としては、口を開けたときのカクカク音や痛み、あごが引っかかるような感じ、頭痛や肩こりなどがあり、悪化すると日常生活に支障をきたすこともあります。
治療は、生活習慣の見直しやマウスピースの装着、理学療法、必要に応じて薬物療法などが行われます。多くの場合、
時間の経過とともに自然に改善することもありますが、症状が続く場合は早めに歯科や口腔外科を受診することが勧められます。
顎関節症に関わりがある筋肉
顎関節症に深く関わる代表的な咀嚼筋として、以下の筋肉が挙げられます。
〇咬筋(こうきん):主にあごを動かす際に使われ、特に「口を閉じる」動作に関与します。
〇側頭筋(そくとうきん):口を閉じたり、あごを引いたりする動作に関係しています。
これらの筋肉に過度な緊張やこりが生じると、奥歯や前歯、耳の奥、こめかみ、側頭部、さらには目の奥にまで痛みを感じることがあります。
たとえば、仕事中に「目の奥がズキズキする」「こめかみが痛くなる」といった症状がある方は、咬筋や側頭筋の緊張が原因になっている可能性があります。場合によっては、耳鳴りやめまいといった症状が現れることもあります。
実際に、「歯が痛くなり、歯科を受診したものの、虫歯は見つからなかった」という方が、当院で施術を受けた結果、症状が改善したということもよくあります。
顎関節のトラブルと肩こりの意外な関係
顎関節に不調を抱える方は、平均よりも肩こりの症状が強く現れる傾向があると報告されています。
その主な原因は、歯ぎしりや食いしばりによって咀嚼筋が常に緊張し、その周囲の顔・頭・首・肩の筋肉まで緊張状態に陥ることにあります。この筋肉の過度な収縮が痛みを引き起こしていると考えられています。
仕事や趣味に集中しているとき、ふと気づくと食いしばっていませんか?
また、朝起きたときに顎の痛みやだるさを感じる方は、寝ている間の食いしばりが原因かもしれません。
実は、上下の歯が接触するのは本来、1日のうち食事中のみで、時間にしてわずか20分程度が理想とされています。
それ以上長時間にわたって歯が接触していると、顎関節に大きな負担がかかり、咀嚼筋の緊張も強まってしまいます。
また、噛み合わせのズレや片側だけで噛むクセ、頬杖、姿勢の悪さといった習慣も、顎関節とその周囲の筋肉のバランスを崩す要因になります。
たとえ顎関節症を発症していなくても、こうした負担のかかる習慣があると、肩こりが生じる可能性は十分にあります。
慢性的な肩こりに悩まされている方は、一度ご自身の顎関節や咀嚼筋に負担のかかる癖がないか、見直してみるのも一つの方法です。肩こり解消のヒントが見つかるかもしれません。
また、全身の筋肉をほぐす適度な運動で、心身ともにリフレッシュすることも有効です。
ただし、噛み合わせの異常や歯の問題が原因で噛み癖が生じている場合には、歯科医院での診断・治療が必要になることもあります。
顎関節症による肩こりの見分け方
顎関節症は、噛み合わせの異常や姿勢の悪さ、頬杖をつくクセなどが原因で起こります。この症状は顎だけでなく、肩や首のこりにもつながることがあります。以下のような特徴がある場合、肩こりの原因が顎関節症である可能性があります。
◯ 片側の肩や首に強いこりがある
体のバランスが崩れることで、左右どちらかの肩や首に強いこりが現れることがあります。顎関節症の人は身体の左右に歪みを抱えていることが多いため、肩こりも片側に集中しやすいのが特徴です。
◯ 顔の左右で目尻や口角の高さが違う
顔のパーツに左右差がある場合、それが顎関節症に関係している可能性があります。鏡の前で目尻や口角の高さを確認し、左右差があるうえで肩こりも感じているなら、顎関節の問題が関係しているかもしれません。
◯ ストレートネックの傾向がある
本来、首の骨はゆるやかなS字カーブを描いていますが、姿勢の悪さなどによりこのカーブがなくなり、真っ直ぐになってしまう状態をストレートネックといいます。ストレートネックになると首まわりの筋肉や顎に負担がかかり、顎関節症や肩こりを引き起こすことがあります。
◯ 歯ぎしりや食いしばりのクセがある
就寝中の歯ぎしりや、日中の無意識な食いしばりも顎関節症の大きな原因です。これらのクセがあり、かつ肩こりがひどい場合には、顎関節のトラブルが関係している可能性があります。
◯ 口を開ける・噛むと痛みがある
口を大きく開けたり、食べ物を噛んだときに顎に痛みを感じる場合、それは顎関節症の代表的な症状です。こうした痛みと肩こりが同時にある場合、関連性が高いと考えられます。
◯ その他のサイン
以下のような症状も、顎関節症による肩こりを見分けるヒントになります。
〇食べ物を片側だけで噛むクセがある
〇飲み込みづらさを感じる
〇表情がうまく作れない
〇会話がしづらい
〇頭痛が頻繁に起こる
これらの症状が複数当てはまる場合は、顎関節症が肩こりの原因になっている可能性を疑ってみましょう。
顎関節症を改善すると肩こりがよくなる理由
◯ 顎の筋肉の緊張がほぐれるから
顎関節症になると、顎の筋肉が常に緊張した状態になります。顎の筋肉がこわばると、その周囲にある首や肩の筋肉にも影響が及び、筋肉が連動して緊張しやすくなります。この緊張が肩こりの原因になるのです。
顎関節症を治療して顎の筋肉の緊張が緩むと、首や肩の筋肉もリラックスできるようになり、結果的に肩こりの改善につながります。
◯ 顎の痛みがなくなることで肩の力みが取れる
顎関節症による痛みがあると、無意識のうちに肩に力が入りやすくなります。このような力みが続くと、肩こりの原因になります。
顎の痛みが解消されると、肩に余計な力が入らなくなり、筋肉の緊張がやわらいで肩こりの改善が期待できます。
◯ 姿勢が改善することで肩こりもやわらぐ
顎関節症の原因の一つに、悪い姿勢があります。さらに、顎の痛みがあることで、より姿勢が崩れてしまうという悪循環に陥っていることも少なくありません。
顎関節症を改善することでその悪循環を断ち切ることができ、姿勢が良くなります。姿勢が整えば体のバランスが改善され、肩への負担も減るため、肩こりの緩和につながります。
顎関節症を放置するリスク
肩こりがますますひどくなる
顎関節症が原因で肩こりが起きている場合、顎の痛みや不快感から無意識に肩に力が入り、姿勢の歪みが生じやすくなります。その結果、肩こりは次第に悪化していきます。
口の開け閉めが困難になる
顎関節症を放っておくと、関節内の組織がずれてしまったり、筋肉の緊張や炎症が進んだりして、口の開閉がスムーズにできなくなります。
また、関節に明らかな異常がなくても、痛みによって無意識に口を大きく開けるのを避けるようになることもあります。
五感に異常が現れる
顎の周囲にある神経の影響で、歯や舌の痛み、味覚の変化、目の疲れや耳鳴りといった五感への異常が現れることがあります。さらに悪化すると、手足のしびれや呼吸のしづらさといった深刻な症状を引き起こす可能性もあります。
うつ症状を引き起こす可能性がある
顎関節症による慢性的な痛みや睡眠障害は、うつ病の一因になることがあります。
また、顎関節症と共通する「体の歪み」や「ストレス」などが脳に負担をかけ、うつ病を誘発しやすくなるケースもあります。
耳鳴りの症状が出ることがある
顎関節は側頭骨と下顎骨で構成されており、耳と非常に近い位置にあります。そのため、顎関節の異常が耳に影響を与え、耳鳴りを感じることがあります。
めまいが起こるようになる
体のバランスを保つ内耳の三半規管や耳石器は、顎関節に近い位置にあります。顎関節症によってこのエリアに影響が及ぶと、平衡感覚が乱れ、めまいやふらつきが生じることがあります。
自律神経の乱れを引き起こす
自律神経は、活動時に働く交感神経と、リラックス時に働く副交感神経のバランスで成り立っています。
顎関節症によるストレスが脳に影響を与えることで交感神経が過剰に働き、このバランスが崩れると、自律神経失調症につながることもあります。
このように、顎関節症を放置することで全身にさまざまな不調を引き起こす可能性があります。気になる症状がある場合は、早めの対処が重要です。
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